2019年4月20日土曜日

(再掲)「『夢判断』フロイト」、東京大学出版会『UP』編集部編『ブックガイド 東大教師が新入生にすすめる本』、2012年4月25日刊、276頁、p.51

S. フロイト『夢判断』高橋義孝訳 新潮文庫 上・下 (原著Sigmund FREUD, Die Traumdeutung新訳は、『夢解釈』新宮一成訳、岩波書店刊『フロイト全集』第4巻・第5巻所収 )

 人間若い頃にはに関心があるものである。それは、自分の将来の夢というときの願望のことであったり、空想や想像といったことであったり、より具体的な表現としてイメージ化された作品であったりもする。あるいは、端的に、日常睡眠中に自分が見る夢にも若者は大いに興味を持つものである。そして、人生の始まりにある者にとって、これはとても大切なことであるはずだ。
 夢の解釈に関しては、古代以来幾多の書物が存在する。本書は、フロイトが一九〇〇年という日付を選んで世に送り出した精神分析の誕生の書である。同じ一九〇〇年には現象学の祖フッサールが『論理学研究』の第一巻を刊行し、ソシュールがジュネーヴで音声学や詩法を講義し、プルーストがベルクソンのコレージュ・ド・フランス開講講義に列席していた。世界が新しい世紀を迎えようとするとき、を手がかりに、人間心理や人間文化の成り立ちを読み解く新しい知の枠組みをフロイトは提示したのである。
 二十世紀以後の世界は、それ以前の時代とはまったく異なっている。産業と技術が、夢を加工し生産するようになった。夢は、家族や共同体を離れて、電話やレコードや映画、ラジオやテレビを通じて流通し、大衆無意識を作り出すようになった。ハリウッドの映画やディズニーのアニメ、あるいは、私たちの日常を取り巻く広告や、スターやタレントたちの存在を考えてみるといい。そうしたすべては二十世紀以後の世界における夢の存在を表している。
 あるいは、夢の心理の奥底には、言いようのない不安や暗い衝動が潜んでいて、やがてそれが世界戦争や全体主義を生み出していった。
 『夢判断』は、そうした全ての現代人の夢の原理を解き明かそうとした企てであって、ぼくたちの日常の眠りに訪れる夢を、この世界の存立をめぐる問いへと一直線に結びつけてくれている本なのだ。
                                   

2019年4月18日木曜日

[資料集] 石田英敬×津田大介×東浩紀「脳とメディアが広告と出会うとき」『新記号論』刊行記念イベント第2弾」2018.04.20

石田英敬×津田大介×東浩紀「脳とメディアが広告と出会うときーー
『新記号論』刊行記念イベント第2弾」2018.04.20. 19:00 p.m.開始 

参考資料集 (2019.4.20 6:43 更新)

(以下のリストは、あくまで石田が当日のトークのなかで言及するかもしれないと念頭においている参考資料です。当日のトークは三者の鼎談ですから、かならずしも、これらのすべてに言及するか分かりませんし、これ以外にも言及するものがあるかもしれませんし、また、この順番で言及するかも分かりません。
 そのような性格のリストであることをあらかじめご了承ください。
 また、当日本番まで、さらにこのリストに加えるものが出てくる可能性があり、このリストは随時更新してゆきます。)

第Ⅰ部 「方法の問題」



1       批評プラットフォーム CriticalPlateau

1)「テレビ分析の<知恵の樹>」(石田英敬、西兼志、高畑一路、阿部卓也、中路武士)、『東京大学大学院情報学環紀要』、No.70, 20061月、pp.3-64

2)「批評プラットフォーム<クリティカル・プラトー>」、石田英敬・西兼志・中路武士・谷島貫太 『情報学研究:東京大学大学院情報学環紀要』、No.79, 201011月、pp.1-46

2       ポンピドゥセンターIRI研究所

1)   IRIの研究開発概要

2)   ソフトウエア「タイムライン」 Lignes de temps

3       「ビールの四辺形」

1)   Semiotic square

2)   皆さん、各自、Youtubeなどで ビール、発泡酒、第三のビール、プレミアムビールの2007~2008年ごろのTVCMをご覧になってください。
例えば、松井秀喜が出てくるアサヒスーパードライとか、佐藤浩市が出てくるキリン一番絞りとか、アサヒ極旨とかキリンのどごしとか、サッポロエビスとか、所ジョージのジョッキ生とか、エビス・ザ・ホップとか、アサヒぐびなま とかです。


4 「顔分析」と「情動論的転回」

1)   日本経済新聞 2018/7/18
「私」が奪われる(3AI依存どこまで マネー・信用人生すら

2)   Prattle Micro-Expression Analysis - Powered by Emotics

5      アナログ広告とデジタル広告

1)   TDKビデオテープCM アンディ・ウォーホル
2)   UNIQLO GRID

3)   UNIQLO GRID UNIQLO cm

4)   Sierpinski carpet

6     0.1秒の世界」
1)   日本経済新聞2018.9.3 「あなたの知らない「狙う広告」 0.1秒の世界

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/chaos-map/


第II部  マーケティングと「心のなかの隠された市場」


1 マーケティング・PR関係の参考文献



1) エドワード・バーネイズ『プロパガンダ』新版  中田安彦訳解説 2010 成甲書房
 分かりやすい翻訳です。しかし、目下絶版ですね。
ならば、原著を読みましょう。
Edward Bernays, Propaganda  Ig Publishing 2004 この本の初版は1928

2) Bernaysの1920年代最初の本は、
Crystallizing Public Opinion Wilder Publications 2019 初版1923 (アマゾン・キンドルあり)

3) 「心のなかの隠された市場 hidden market in personality」が述べられるのは、
Public Relations Norman 1952 (アマゾン・キンドルあり)

4) 「合意工作(engineering of consent)」については、以下からDLできます。
http://www.mcnuttphysics.com/uploads/2/3/6/9/23694535/engineering_of_consent-edward_l_bernays.pdf

5) リップマンで必読は、『世論』岩波文庫 上/下  英語原著は
Public Opinion Dover Publications 2013  初版1922

6) さらに、『幻の公衆』柏書房 2007

7) バーネイズ探訪記をふくむPRについての研究は以下が基本文献のひとつ。
スチュアート・ユーウェン『PR!―世論操作の社会史』法政大学出版 2003

8) PRの学術的研究として本格的な研究は以下が決定的の本。高いですがお薦めです。(お金のないひとは大学や図書館で閲覧してください)
河炅珍 『パブリック・リレーションズの歴史社会学――アメリカと日本における〈企業自我〉の構築』岩波書店 2017

2  TV番組


1) バーネイズの役割が強く認識されるようになった2002年放送のBBCの番組が、
The Century of the Self 全四回 Youtubeで見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=DnPmg0R1M04
 https://www.youtube.com/watch?v=fEsPOt8MG7E&frags=pl%2Cwn
 https://www.youtube.com/watch?v=ub2LB2MaGoM&frags=pl%2Cwn
 https://www.youtube.com/watch?v=VouaAz5mQAs&frags=pl%2Cwn

2) リップマン、バーネイズに始まる知識人によるManufacturing of the consentを批判しているのがチョムスキーで
https://www.youtube.com/watch?v=7ddVmKS3AOo&frags=pl%2Cwn
これに対応する書籍が
Edward S. Herman , Noam Chomsky Manufacturing Consent: The Political Economy of the Mass Media Pantheon; Reprint版 (2002/

 

注目の投稿

做梦的权利:数码时代中梦的解析

The Right to Dream:   on the interpretation of dreams in the digital age Hidetaka Ishida ( Professor The University of Tokyo) ...