2018年6月4日月曜日

「アベ脳にならない!」市民連合新宿街宣20180604でのスピーチ

石田20180604
「アベ脳にならない!」

お集まりの皆さん 通行中のみなさん
こんにちは東京大学の石田英敬です。

今日私は「学者の会」のひとりとしてここに来ました。
学者は、「真実」を調べ上げ、「真理」を探究することが仕事です。
「本当のことを言う」のが社会のなかの学者のつとめです。

「真実」「真理」の反対とは何でしょうか。
それは「ウソ」です。「ウソ」は学者が最も嫌うものです。

今日は、短い時間ですが、
「ウソと政治」をめぐる話をさせてもらいます。

みなさん、日本の首相の安倍シンゾーさんは、アメリカの大統領のトランプさんと非常に仲が良いらしい。大のゴルフ友だちらしい。でも、ゴルフ以上に、二人には大好きで得意なことがあります。それは、「ウソをつく」ということです。

アメリカの新聞「ワシントンポスト」の調査によると、
トランプさんは大統領就任以来497日間で3251回のウソあるいはごまかしの発言を公式の場でしたそうです。トランプさんがウソをつく平均の回数は、最初の100日間は一日平均4.9個だった。ところが、ウソの数はどんどん増えていて、今年に入ってからは一日9個のウソをつくようになった。このままのペースで任期をまっとうしたら、最後の年には一日平均19個のウソをつくようになると予測されています。

 このように大統領のウソが増えていく理由について脳科学者は説明しています。ヒトがウソをつくとき、最初は心理的な抵抗が大きい。最初に香水をかいだとき臭いを強く感じます。でも、使い続けていると嗅覚が適応していって感じなくなるのと同じ脳のメカニズムが働く。だからウソをつくひとのウソは増えていく傾向があります。
 さらに心配なこともあります。ハーバード大学の研究者の研究ではヒトは他人のウソにも適応していく。ウソをつくヒト、不誠実なヒトが周りにいるのに慣れてしまうと、周りの人々も倫理に反する言動を非難しなくなる。
 いまの自民党のような傾向ですね。
 そして、有権者も大統領のウソに次第に適応していき、それをただそうとしなくなる。そうすると大統領はもっと平気でウソをつくようになる。
 さらに、もっと心配なことがあります。
 トランプの支持層の調査では、トランプがウソをついたことを知ったあとでも支持を変えない傾向がある。最近のギャラップ世論調査では、「大統領は正直で信頼に足る」と答えていた人が2月には46パーセントいたのが4月には36パーセントまで減少した。しかし、支持率はほぼ変わらないし、むしろ上がっている、という結果が出ています。

 さて、トランプ大統領のウソについての研究を紹介しましたが、皆さんもお気づきのとおり、これは日本でトランプの大のお友達、アベ首相にも起こっていることですね。
 もうみんな「アベは嘘つきだ」、って知っている。ところが、まわりのスタッフはアベのウソつきに適応してしまって、まわりでは「ウソをつく人」たちがどんどん増えていった。まわりの人たちもウソをつくようになった。佐川とか柳瀬とかいう官僚たちを見れば分かるとおりです。官僚のなかにも「ウソをつくのはいやだ」と思った人もいて、「心理的抵抗」がとても強かった。そのために、その人は自殺をしてしまいました。本当に悲しいことです。
 
 私には、アベ政権が、国民のみんなを「嘘つきに順応した脳」にしようとしていると思えます。「ウソに順応した脳」のことを、「トランプ脳」とか「アベ脳」と呼ぶことにしましょう。私には、いまのアベ政権は、国民のみんなを「アベ脳」化しようとしていると思えます。
 いま紹介したアメリカの研究がいっているように、選挙民もだんだんウソに適応した脳になることを狙っているのです。じっさいに、最近の世論調査では、「首相の人柄が信頼できない」という項目は70パーセント以上の人が「そう思う」と答えているのに、ところが、30パーセント程度で内閣支持率の下げ止まり傾向が起きている。

 「おおきなウソをつき、それを繰り返していえば皆が信じるようになる」とナチスの宣伝相ゲベルスは言いました。
 私は今の政権は、ますます、ウソをつき続けることで、支持率を下げ止まらせる戦略に出てくるだろうと予想しています。
 みんなを「嘘つきに順応した脳」、「ウソになれた脳」、「アベ脳」にしようとしている。

皆さん、「アベ脳」にならないよう、気をつけましょう!
 
 「アベ脳」にならない、これはじつは簡単なことです。
 まず、あなたが「ウソをつかない」ことです。一人一人がウソをつかない。そうすると周りもウソをつきにくくなる。水がきれいになるように、よい循環が生まれていきます。
 「アベ脳」にならない。それは、周囲のウソを許容しないことです。ごまかしを許さないことです。
 「アベ脳」にならない。それは、私は名前を存じ上げませんが、公文書の改ざんを強要されることで、「ウソをつかされて」しまって、脳科学者たちがいう「心理的抵抗」が余りに大きくて心を病むにいたり自殺に追い込まれた、「名も無い、しかし、あくまでも正直であろうとした」、一人の公務員のことを決して忘れないことです。
 「アベ脳」にならない。それは、社会が不道徳になること、倫理感が麻痺して、国が衰えていくことを防ぐことです。
 
 「アベ脳」にならず、政治の退廃をとめましょう。本当に情けないウソばかりつく政治家たち官僚たちから一刻もはやく政治を取り戻し、「正直」で「まっとうな」政治をつくり、国を作り直しましょう。

  皆さん、社会の「アベ脳」化を止めましょう!

参考資料:
1 Processing political misinformation: comprehending the Trump phenomenon
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/4/3/160802
2 The brain adapts to dishonesty
https://www.nature.com/articles/nn.4426
3 When misconduct goes unnoticed: The acceptability of gradual erosion
in others’ unethical behavior
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002210310900078X
4 Tali Sharot and Neil Garrett Trump's lying seems to be getting worse. Psychology suggests there's a reason why.
https://www.nbcnews.com/think/opinion/trump-s-lying-seems-be-getting-worse-psychology-suggests-there-ncna876486
5 In 497 days, President Trump has made 3,251 false or misleading claims
https://www.washingtonpost.com/graphics/politics/trump-claims-database/?utm_term=.f41cfe5d3332


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